武侠小説

LOVERSはやっぱりLOVERS

この頃、ちょっと武侠もの中国ものに偏っていますが今回はLOVERS(2004年 張藝謀監督)について書きます。

時代は唐代、緑林の幇会(盗賊秘密結社とでも言うようなものですか)「飛刀門」の前首領の盲目の娘が遊郭「牡丹坊」にいるとの情報をつかんだ捕吏の劉(アンディ・ラウ)が同僚の金(金城武)にわざと娘を逃がさせ、その本拠地に案内させようとするのだが…。

Lover0_2 遊郭「牡丹坊」の踊り子「小妹」(チャン・ツィイー)が劉の指示で行う「仙人指路」は圧巻です。劉の投げる豆が打つ太鼓を踊りながら小妹がその長い袖で正確にたたいていく。その踊り、美術、衣装(さすがワダエミさんです)は見事です。

Lovers2 竹林を金と小妹が追手から逃げるシーンも見せ場の一つです。「チェオクの剣」の最初とラストでも同じようなシーンがありますが、これは1対1ですが、「LOVERS」のほうは2人が取り囲まれている状態です。それに執拗で、死の寸前まで追い詰められますが…。

ところで、「LOVERS」は武侠映画なのでしょうか?武侠小説や映画では「緑林の幇会」は義侠の士の集団であることが多いのですが、この「飛刀門」の性格が今ひとつつかめない。何が目的なのかが良く分からない。例えば金庸の「書剣恩仇録」に出てくる幇会「紅花会」などは、完全に「反清」の漢民族の侠士集団です。「飛刀門」は緑林の幇会ではあるらしいのですが…。
それに「武侠映画」では必ず強い絆の師弟関係が描かれていますが、これには全くありません。
同じような体裁の映画「グリーン・ディスティニー」(2000年 李安監督)の主人公リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)は義侠心からイェン(チャン・ツィイー)を正道に戻そうという話です。また、ユー・シューリン(ミシェル・ヨー)とリー・ムーバイは惹かれあいながらも師弟関係のために結ばれないという「武侠…」には特有の世界が描かれている。ですから「グリーン・ディスティニー」は「武侠映画」といって差し支えないでしょう。

要するに「LOVERS」はどうも、「武侠映画」の形を借りた「恋愛映画」だということでどうでしょう。結局、ラストにあるだろうと思わせた。「飛刀門」と朝廷の精鋭部隊との戦いは描かれませんでしたしね。

ですから、「武侠映画」だと思ってみたらがっかりしますが、劉徳華と金城武と章子怡の三角関係を描いた「恋愛映画」だと思って見れば、映像の美しさから言ってかなりいい線なんじゃないですか。(章子怡は可愛くて切ないから!)
Lover3 金城武は相変わらずですが、劉徳華(アンディ・ラウ)は「小妹を愛しながらも掟に従い捨石にせざるを得ない」という難しい役どころを見事にこなしていて見ごたえありだと思います。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (4) | トラックバック (0)

「九陽神功」って何ですか?

周星馳(チャウ・シンチー)は好きだなー。「食神」(1996)「少林サッカー」(2001)「カンフーハッスル」(2004)の3作しか見ていませんけれども。
特に「カンフーハッスル」はおもしろい。まあ、ちょっと変わった武侠映画と言ってもいいと思います。

舞台は現代の中国のようですが、子供の頃行商人?から買った武術の奥義書で修行するのですが、結局どうしようもないチンピラになって…。ネタバレはしませんがまるである意味「ドラゴンボール」みたいな映画です。それも周星馳独特のあの味付けで。

2 この二人は貧民街のアパートの経営者なんですが、実は武術の達人で左の女性は「小龍女」右が「楊過」という名前なのですよ!!これは金庸の「射鵰英雄伝」シリーズ第2作目の「神鵰剣侠」(原題「神鵰剣侶」)の主人公と同じと言うことで。まさかあの「小龍女」と「楊過」の成れの果てがこのアパート経営者なの?周星馳一流のしゃれっ気なんでしょうね。
まあ、まさに達人同士の戦いが繰り広げられるのですが。

百の言葉を並べても面白さは通じないでしょうから、ご覧になっていない方は、ほんとに一度観てみてください。

「少林サッカー」がいいと思った人には絶対お勧めです。周星馳自身武術の心得があるのだと思いますが、CGや ワイアーアクションを駆使した映像は圧巻です。

でも、その前に「射鵰英雄伝」シリーズを読んでおくことをお勧めします。読んでいないといくつかのシーンの面白さがわからないでしょうから。「小龍女」と「楊過」のシーンを含めて。

Photo_6 最後に行商人が、女の子に売りつけるようとする「九陽神功」と書かれた書物は多分「射鵰英雄伝」の「九陰真経」か、シリーズ第3作目「倚天屠龍記」の「九陽真経」をもじったものでしょう、

一陽指」は「射鵰英雄伝」の南帝こと一灯大師の必殺技。

「降龍十八掌」は「射鵰英雄伝」で北丐こと洪七公が郭靖に伝えた必殺技なんですよ。

(あとの二つは良く知りませんが)

中国圏ではこの小説はベストセラーなので、自然にこのシーンでは爆笑が起こったでしょうけど。日本では余り知られていませんので、解説しておきました。こんなことを全編にちりばめている周星馳のしゃれっ気が実は大好きなんです。

ブログランキング・にほんブログ村へ

| | コメント (1) | トラックバック (0)

カッコいいってわかるかい?

大塚まさじの曲じゃありませんよ。(それは「男らしいってわかるかい」やろと、ツッコミが入る…それにしてもネタが古いなあ年齢が完全にばれてしまう。)

武田泰淳の「十三妹(シイサンメイ)」の主人公何玉鳳まさにカッコいいの名に値するのでは。言葉での表現は難しいけれども「グリーンディスティニー」のミシェル・ヨーいや年齢的にはチャン・ツィイー  かな?「チェオクの剣」のハ・ジウォンを想像して頂ければいかと思います。

「児女英雄伝」(清代)と「三侠五義」(宋代)をごちゃ混ぜにして煮て焼いた感じの小説なのですが。しかし、ネタ本の「児女英雄伝」にしても「三侠五義」にしても現代人から言わせるとエンターテインメント性に欠けるといわざるを得ないものですが。(もっともネタ本を読もうと思っても、古本屋か図書館にしか置いてない中国古典文学大系で読むしかないのですが)武田泰淳さんはその二つを混ぜ合わせることで現代のエンターテインメントとして変身させたのですよ。

主人公の何玉鳳は、美人で、武芸の達人で、やたらと秘密の行動が多く、身が軽く、神出鬼没という武侠小説の女主人公の典型のような人なのです。

安家の第2夫人たる彼女にまつわる決闘あり、謀略あり、ついにはは夫を「探花」(科挙試験の第3位合格だが才貌兼備の者がなるとされる)にまでしてしまう…。

夫である安公子を愛し寄り添いながらも、第1婦人の張金鳳とも仲が良いという、現代では考えにくい設定なのですが…これも有りでしょう。

どうも映像化されていないようなのでどこかの映画プロジューサーの方ごらんになっていたらぜひ、ハ・ジウォンさん主演で映画化を!!

それと、中公文庫版の表紙をご覧ください。やたらとカッコいい彼女の絵がありますから!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)