漢の武帝時代のことを適当に
中華民国からど~んと遡って漢の武帝時代のこと。
第3回でさらっと流しましたが、この時期が漢の絶好調の時代です。
まあいわば江戸時代の元禄時代、みたいな物ですか。
前述のように有名な司馬遷が史記を著したのもこの時代で、史書というのはここからはじまり、そして同じような紀伝体で史書は書き続けられます。簡単に言うと通史を「紀」で、人物を「伝」で書くというやり方です。今でも「なんとか列伝」というのがあるでしょう。人物をあれこれ挙げて批評するやり方。あれは司馬遷さんが始めたのですよ。
余談ですが元の時代に「十八史略」というそれまでの18の史書の解説本みたいなのを曾先之という人が書いたんですが、それを現代の作家「陳 舜臣」が「小説十八史略」という形で小説化されています。中国の通史を勉強するためには、この本は欠かせません。ご興味のおありの方はぜひご一読を。(まあ、これも私のネタ本の一つで読まれると困っちゃうところもあるんですが)
この陳 舜臣さん司馬遼太郎さんなんかと同じ大阪外国語大学のご出身で、確か司馬遼太郎さんの1年先輩でいらっしゃったはずです。作風はかなり違いますがお二人とも優れた作家でいらっしゃいます。(司馬さんはもうお亡くなりですが)
随分横道にそれましたが、まあ、皇帝の力は絶大で「封禅」と言う儀式をやったらしいのですが、これは紛れも無い大皇帝だけが出来るという儀式で、始皇帝と漢の武帝しかやっていないらしい。どういうものなのか今はわからないのですが、神に対して祈りをささげる的な事だったのでしょうか?始皇帝にしろ武帝にしろそれを行うという政治的な効果を狙ってのことだから、ことさら詮索してもしようが無いような類のことだろうと思います。
諸星大二郎という漫画家は中国物を書くのが好きな作家ですが、この「封禅」についてもかなり興味を持っているようで、時々この時代のことを書くときに登場させます。
諸星大二郎の「無面目」というのもこの時代を描いた作品です。
基本的には荘子の中に出てくる説話の「混沌」の話を漢の武帝の時代に持ってきて大きく膨らませた話で、諸星大二郎作品の傑作の一つです。
武帝周辺の話ですので、その時代を映す多彩な人物が登場します。
無面目の主人公は「混沌」=「欒大」(らんだい)という方士(まあよく言えば超能力者、普通に言えば手品師、悪く言えば詐欺師みたいなものです)なのですが、私が好きなのはこの物語の案内役(作家はトリックスターという言い方をしていますが)東方朔という人物です。
この人地方で手習いの先生(塾の先生)をしていたのですが、文章でいかに自分がすごいかって言うことを、朝廷に送って、取り立てられてお役人になる人なのですが…。
前出の「捜神記」にもこの人の逸話が載っていますし、「列仙伝」という書物にもその逸話が載せられています。もちろん正史の「漢書」にもその列伝のある人物ですが。まあ、武帝の周辺に居た数多くの相談役兼おどけたピエロ役的な人だったんでしょうね。
「列仙伝」には頭巾をおいたままどこかへ行ってしまい仙人になったと書いてありますが。
「捜神記」では、武帝の行幸中に化け物が現れてそれを酒をかけるだけで退治した。なんていう説話が書かれています。
この、「無面目」と言う話でも、武帝の相談役をしながら時々仙界に行き仙人と会話するという役を演じています。そして途中で尸解仙となるのですが…。
どうも、仙人にも位があって天仙、地仙、尸解仙と言うそうですが、尸とは生と死の中間という意味なので、まあ仙人では一番下のランクなんでしょうね。
(まえにキョンシーってはやったの知りませんか。キョンシー=僵屍です。この屍の元の字が「尸」なんです。なんとなくイメージが解るでしょ。死んでいるんだけれども動いてくるゾンビ=僵屍のイメージです。だから死と生の中間に位置することをが「尸」の概念のようです。)
武帝の時代を知りたかったら先ずこの漫画を読むことをお勧めします。
前回がかなりシアリアスな内容だったので今回は軽めにこの辺で。
次回はまた何が登場するかわかりません。
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