流行の罠
電車中でふと目に止まったお嬢さん。アレッ何処かで会って事あるかな?いわゆるデジャビュってやつか…と少し考え、中学時代あこがれだった女の子に面影が似ている事に思い至ったのです。私は紆余曲折の末、今生まれ故郷に住んで居ますが、未だに地域移動の少ない地区(いわゆる田舎)を含んでいるので、もしかしたら、その子の娘さん?などと考えているうちに、そのお嬢さんは電車を降りてしまいました。
中学の卒業式が近付いていた頃だったと思います。女の子達の間で妙な事が流行っていました。手を振らずに、両手の手首を太腿のところでで90度曲げて、指だけを下に向けて歩くのです。変な事が流行ったものだけど、女の子に挨拶すらできなかった当時の私に、その真意の何たるかを知る術ありませんでした。クラスの主導的な立場の子たちがその歩き方を導入するに至って、すぐにクラス全体に伝染しました。全校に広がるのにさほど時間を要さなかったと記憶しています。もちろんそのあこがれの女の子も…。背が高く美人のその子がやるとかなり可愛く見えたのは事実で、その効果は認めざるを得なかったのですが。
卒業式の何回目かの予行演習の日、学生服とセーラー服の男女が体育館に集められ整列させられていました。男子の入場練習が終わり、女子の入場練習が始まった途端、男子の間から漏れる失笑。そこにいたのはセーラー服を着たペンギンの集団が2列縦隊で行進している姿だったのです。その後は皆様想像通り、中年の体育教師が直ちにその行進を止めさせ、説教を垂れ、ついにはその行為そのものを禁止するに至ったということです。
そのお嬢さんをみてふとペンギンの姿がふと脳裏をよぎったのでした。
流行のファッションはファッションに選ばれた者には美を与えるが、ファッションを選ぶ者には安心しか与えないものなのでしょうか。
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