まんが談義に夜も更けて第13回 (プラネテス 幸村誠)
昨日(2007/1/19)来国際的に報道されている「中国の弾道ミサイルによる自国の衛星破壊」に対する米英EU日本などから寄せられる非難の声。米国の、「宇宙利用にあたっての協力の精神に反するものだ」というのは確かなことでしょう。
また、それは軍事的な監視を人工衛星に頼っている軍事大国にとって脅威なことは確かです。例えば北朝鮮にこんな技術があれば6カ国協議中唯一衛星を持たない北朝鮮は、相手の目を塞ぐことに成功するかもしれない。
しかしそれらは憶測であり、もしかしたら杞憂なのかもしれません。中国の侵した明らかな罪はspace debris(スペースデブリ=宇宙ゴミ)を新たにしかも大量に発生させたことです。
まんが「プラネテス」の主人公「星野八郎太」はまさにこのスペースデブリの回収を生業としています。
中国が衛星を破壊したのだからすべて落ちてしまって大気圏で燃え尽きてしまうだろうと考えている人がいるとしたらそれは無知に過ぎるというというものです。
弾道ミサイルの破壊によって人工衛星がランダムに小さな破片となって飛散したことと思われますが、その初速が約7.9km/秒に達し投げ出された物体は永遠にその速度を維持したまま地球の周りを回り続けることになるのです。(約7.9km/秒を第1宇宙速度といいます。ちなみに11.2km/秒=第2宇宙速度を超えると軌道の離心率が1を超えてしまうので、双曲線軌道をとり永遠に宇宙を飛び続けることになりますが、初速7.9~11.2km/秒で地表に対して垂直近くに投げ出された物体以外は永遠に地球の周りを猛スピードで回り続けることになります)これがspace debrisです。
そして中国の弾道ミサイルによる人工衛星の破壊は確実にspace debrisを生み出しています。
通常ピストルの弾のスピードは0.3km/秒、ライフル銃で1km/秒でその直径は大きくても直径が数ミリから数十ミリです、それがたとえ直径数ミリの物でも容易に有益な気象衛星や通信衛星などを破壊や停止させる足る物体だということはその速度からして十分想像が付きます。またEVA(船外活動)をする宇宙飛行士はひとたまりも無く死んでしまいます。(たとえ1~2mmのものでも容易に宇宙服を貫いてしまうことは想像に難くない)
またspace debrisが有益な衛星などにぶつかり新たなspace debrisを生み、space debris同士の衝突が新たなspace debrisを生む。space debrisが多くなればなるほどその確率は増し、space debrisの数は等比級数的に増していく…いわゆるKessler Syndrome(ケスラー症候群)が懸念されます。
もしspace debrisの数が離心率ゼロの地球周回の円軌道上で一定数を超えてしまったら、地球の周回軌道に弾幕を張られたような状態が生じその軌道上のすべての有益な人工衛星が一瞬にして破壊されてしまうことを意味しています。こうなると、これがまたspace debrisを生み更にspace debrisの密度を濃くしてしまい取り返しの付かない事態に追い込まれてしまうのです。
まんが「プラネテス」でも「タンテムミラーエンジン」の事故や「軌道機雷」使用でKessler Syndromeが起こる現実が描かれています。
今後の人類にとって「プラネテス」に描かれているような宇宙開発が不可欠なことは言うまでもありません。その中で、中国が行った行為は、ケスラー症候群を生む確率をかなり上げたといわざるを得ないのです。これは人類に対して明らかに謝罪すべき行為だと考えますが、みなんさんはどう思われますか?
今の中国は、「自分達には自分達のやり方がある」と主張します。自然破壊、大気汚染、人権問題、地球温暖化ガス排出、公害、核開発…。確かに今先進国と呼ばれている米・英・EU・日本などはそれらを経て今の生産力や富の蓄積を獲得したのですが、同じやり方をしないとやはり先進国の仲間入りできないのでしょうか?
「プラネテス」でも先進国主導の宇宙開発に対してKessler Syndromeを使ってテロを起こそうとするというテロリストが登場します。
「プラネテス」に描かれるspace debrisの回収を生業とする…これは近未来の想像上の仕事ですが、近未来に必ず発生する仕事であると見て間違いないと思います。なぜならばすでにspace debrisは宇宙開発の脅威となっているのですから。
そしてKessler Syndromeを使ってテロこれも十分可能なことです。ただこれは現実になってもらいたく無いものだと思います。
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